月別アーカイブ: 2007年12月

「そばがき」これが蕎麦店をおすすめできるワケ〜しみず

この店の住所は「橘通」であるが、いわゆるニシタチではなく、ヒガシタチ。
橘通はニシとヒガシにわかれていて、ニシタチのにぎやかさとは反対にビジネス街になるから夜などはひっそりとする。

「橘通2丁目」交差点を東に入る。すると一筋目の右向かい角にシックな建物がある。コンクリートので壁面で囲まれた二階建て、ここが「蕎麦処 しみず」である。

「吟匠庵」についての日記でも書いたように、この店も一茶庵の手打ちそば教室プロコース卒業生の店舗紹介に名を連ねるが、ただの卒業生ではない、いぶし銀たる風格が「しみず」のオヤジの「そばがき」に備わっている。

その「そばがき」には滋養さというか、宮崎の蕎麦文化を引っ張ってきたであろう、清水さんの人なりを感じさせていただいたのです。そもそも蕎麦の魅力は、蕎麦切りだけで測れないと思う事があって、むしろそば店ではこれだけを食べる場合もあるほど好きだ。
この作り方は、蕎麦粉を多量の水で溶いてから煮る、もしくは、熱湯で溶いて煮えた状態にするかの、簡素な食べ物で、そばきりよりはるか古くからある「そば食」。故片倉康雄氏は「手打ちそばの技術より」にてこう記している。

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椎葉産の蕎麦粉。そばや吟匠庵。

宮崎神宮は、天皇を祀る神社であり、一の鳥居を徹瞬間に身が引き締まる思いとなる。
絵馬を掛けさせていただいたあと社務所の巫女さんに「このあたりでうまい蕎麦屋さんはありませんか?」といつものように聞いてみた。すると自信をもってオススメいただいたのが、この吟匠庵である。

道案内の通りにあるくと、2分で着いたこの店は、どちらかならおしゃれな感じがするお店。
教えていただいたのは若い巫女さんだっただけに、”味よりも雰囲気”でオススメだったのか、と期待度のハードルを下げて席に暖簾をくぐる。
しかしまず目に入ったのは「今日のそば粉”椎葉産”です 店主」の貼り紙。これは意外だった。

何故意外だったのかと、これを申しますには少し蕎麦の話しから”回遊”する必要があります。

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宮崎の京都ダシ。蕎麦もおいしいがお土産が面白いそばや哲心。

宮崎の人気土産品といえば、地鶏や太陽のタマゴ、冷や汁や牛筋味噌煮込み、チーズ饅頭となりましょうか。しかしボクは「哲心」の饂飩にする。ただしここは蕎麦だけを出すおソバ屋さんであります。

こちらのご主人、京都は祇園で10年間の料理修行の後、郷里である宮崎に「そばや哲心」を開き四半世紀のお蕎麦屋さん。ここでお蕎麦を楽しんでから「持ち帰りの饂飩」を注文する。この感覚が面白いのです。

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このカテゴリ「宮崎の蕎麦」について。

宮崎で麺を食べるなら?とタクシー運転手さんに聞けば釜揚げうどんかラーメンを勧められることが多い。しかし蕎麦を打つ運転手さんに出逢ったことがある。
「宮崎では良い蕎麦を手に入れることが出来る」なので自分で打つそうだ。

それまで宮崎県に蕎麦のイメージなどなかった。だから、椎葉村三股町の蕎麦畑、そして宮崎市の檍地区(あはき)で「そば畑」などを見た時には驚いた。

特に檍地区の蕎麦畑は異業種交流グループ「バルシードあおき」の皆さんが地域活性化のために種まきから収穫までできる「そば街道」づくりに取り組んでおられ、その結果として地産地消の働きが機能している。

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蕎麦前〜利庵

東京で蕎麦となれば、蕎麦前の日本酒。
それも風情ある内装に囲まれたら、いささか呑みすぎてしまう様な事もありましょう。
出し巻きタマゴに焼き海苔にジュンサイなど、樽の香りが良い日本酒で頂く。

この「東京名店おいしい蕎麦」カテゴリ。どこから書こうかと思ったが、まずはじめは白金台のそば処、「利庵」から。
以前、ジュヴァーナにこのプラチナ通りに連れてこられた事があるからだ。

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このカテゴリ「東京名店おいしい蕎麦」について。

ボクの蕎麦への興味は飽きることがない。
いつかも書いたけれど、東京で初めて蕎麦を口にしたとき蕎麦なのに蕎麦でないという不思議な感覚に囚われた事があり、実は今もその傾向は変化してきたとしても、ボクは当たり前のようにあの斬新な味わいの蕎麦を求めている。
そう言った意味で聖地とも言える東京の蕎麦。東京の名店やおいしい蕎麦店について文章にするというのは気が引けるところではなるが、アウトプットしなければインプットもあるまい、勇気を持って書きしるしてゆこうと思う。

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おいしい出石そば。おすすめの店〜そば庄

お皿を5枚一組で一人前、真っ白な出石焼に盛られる蕎麦は美しいものだ。出石ではほとんど蕎麦粉が採れない。だから出石焼のお皿にお蕎麦を盛って食べていただこう、というのが出石蕎麦である。

さて、その出石そばを食べるために、お客として訪れる小生。はじめて出石そばに求めたものは、「一に蕎麦の味。二に店の雰囲気。三に値段。」であった。しかし今、出石町内の全ての蕎麦店で食べてみると、おいしいと判断した基準は「一に城下町の風情。二に店のわびさび。三に蕎麦と汁のバランス。」に変更した。

取って付けたような風情やわびさびじゃなくって、蕎麦や汁も平均以上でマッチした特色があって、さらに出石城下町風情とわびさびにマッチしている。
これがボクの100点満点のおいしい出石そば。

そしてその100点満点が今回の「そば庄」です。

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手打ちの規格が判ったように思えた〜甚兵衛

蕎麦の話しをしていると、この様に言う人もいる。
「手打ちは時には不揃いであるものの方が、手打ちらしくて良い。蕎麦一本一本の切り幅もまちまちで、麺帯の伸ばし加減もにもムラがある。そんな方が、人間がやることのようで良いではないか。それに、十割そば製麺機や、手打ち式包丁切りそば製麺器とは違って、ひと目で手打ちと分かるので、手打ちを売り物にも出来る…」。
これが不揃いをよしとする人の理屈である。

しかし、この意見は如何なものか。
小生の打つ趣味の蕎麦でさえ、技をひとつ覚える度に、稚拙なレベルを超えることもあるのである。
ましてや商売人のつくる蕎麦においてや……となる。

つまり、同じものをいくつも作り続けても、その時々で仕上がり具合が違ってしまうことなど許されない、規格の揃っていることが求められる。手打ちとか機械製麺とかに関係なく、これがプロの仕事なのだと思う。

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