この店の住所は「橘通」であるが、いわゆるニシタチではなく、ヒガシタチ。
橘通はニシとヒガシにわかれていて、ニシタチのにぎやかさとは反対にビジネス街になるから夜などはひっそりとする。
「橘通2丁目」交差点を東に入る。すると一筋目の右向かい角にシックな建物がある。コンクリートので壁面で囲まれた二階建て、ここが「蕎麦処 しみず」である。
「吟匠庵」についての日記でも書いたように、この店も一茶庵の手打ちそば教室プロコース卒業生の店舗紹介に名を連ねるが、ただの卒業生ではない、いぶし銀たる風格が「しみず」のオヤジの「そばがき」に備わっている。
その「そばがき」には滋養さというか、宮崎の蕎麦文化を引っ張ってきたであろう、清水さんの人なりを感じさせていただいたのです。そもそも蕎麦の魅力は、蕎麦切りだけで測れないと思う事があって、むしろそば店ではこれだけを食べる場合もあるほど好きだ。
この作り方は、蕎麦粉を多量の水で溶いてから煮る、もしくは、熱湯で溶いて煮えた状態にするかの、簡素な食べ物で、そばきりよりはるか古くからある「そば食」。故片倉康雄氏は「手打ちそばの技術より」にてこう記している。