沙羅双樹が、夏の椿で白い花であることを知ったのは、小学生くらい。どこかのお寺で、緑色の苔にこの沙羅双樹の花がのっていた、そんなことを覚えている。丁度今くらいの季節だった。
祇園精舎の鐘の音
諸行無常の響き有り
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
同じ頃だったと思う、学校で習った平家物語の一節。
「盛える者はかならず滅びる」
今も背骨にたたき込まれていて動けなくなる事があるこの一節は、沙羅双樹の花の姿をみたからかもしれない。
まだ充分に残っている美しさを蓄えながらも、その花びらは緑色の苔とはいえども地に堕ちている。
朝に咲いても夕方には散ってしまうこの沙羅双樹。
この花を思い出し、自分の記憶に意味を聞いても、ただ謙虚に生きよと言っているようにしか受け取れない、昔からそうである。
さて、この季節のカテゴリでは、主に写真を持って京都の十二ヶ月を追い求めてみたい。
京都の年間行事は記すにも数が多く、行事の名称すら未だ聞いたことが無いのあって奥深い。
既に桜の季節には、何回か投稿していますけれど、今回など特に沙羅双樹を撮影したい。
だけれど、未だにお目にかかれていません。
六月の花なのに。