家系図の形式と作り方

系図の書き方は、さまざまあるが、大体は次のような形式が普通だ。

実名を記し、その左脇下に、その人の名前、通名、任官位名等を記し、次に素姓、経歴がわかるように、家督、任官、封地、行実、退隠、卒年、行年、院号法名、墓地などを記します。

さらに、素室がわかれば、その素姓や卒、行年、院号法名なども書き入れます。


   長

   重

   |

   長

   直

   |

   長

   友


家督嫡系は、次のように、縦に線を引いて続けて見やすく表し、次の行にわたって続けるときは、鉤形に線を引いて表記します。


             長

       __    重

      |   |  |

      長   |  長

      矩   |  直

          |  |

          |  長

          |  友

          |__|


長幼男女の順序を表すには、長男、長女、二男、二女など、その生年月日の順に、右から横列に左へ記していくのが普通の形式です。
次のように、右方書きが長、左方が幼くなります。


   某

______│______

  
│ │ │ │ │

某 某 某 某 某

三 二 二 嫡 長

男 男 女 男 女 

各人物の略歴は、その左横下に書き連ね、武家のならば女子には名は書かなくても良い慣習となっていたが、嫁になったときは、その下、また左横に何某室と記します。

家譜、系図を作成するのには、出自が武家であるならば、遠祖から何代目に苗字が変えられたか、また支流同族の系図をも参照し、各年代人物の婚姻関係も調べなければならない。
確認の方法としては、いろいろあるが、伝承や社寺奉納物、記帳類、奉納額、棟板、菩提寺過去帳、墓碑銘、旧記類、公文書。

町人ならば、庄屋の記帳、五人組帳、人別帳等々までも調べなければならない。

ある家にとって、先祖が書き認めた伝来の家系図であるから、すべて誤りなく正しいと思う方もおられるが、実はその旧記系図が、不正確であったり、もっともわかりやすい没年さえも、明らかに誤りである場合が少なくないのだ。

さらに、往々にして家系図には、比較的無難に簡略した記載が多く、公に他に示すようなものと、詳細な私家秘蔵用のものとがあって、いわば二重帳簿のようなものがあり、絶対に第三者には公表を憚る事項の記載を漏らさずに記した系譜、系図もある。

たとえば、これもここで書くことが出来ないが、ようは、家系の恥となるような事実が、名家などで、公に知られたくない事柄を記した家系図、外向けの系図と、内向きの系図の二重系も、現実に目にしたことがあることを記しておく。

以上、系図の話を思いつくままに記したが、すべて系図は、先祖、祖統を子孫次孫代へ伝える、それぞれの歴史の簡潔な図表式である。

祖先と子孫がひとつになって、時に繁栄したり、あるいは沈潜したりしたその消長を記憶にとどめ、さらになお人々が次代へと生きていくすがたを描く、もっとも要約された歴史縮図であろうと思う。

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