一般に系図は、系譜や家譜とよばれています。
先祖から、その家の中心に代々の系統を、家督相続者を主軸として、各代々の血縁関係を書き記したものをいうので、家系を文字図式に表したもののことです。
また、俗には来歴、由緒、由来を意味するものを書き記した表も、系図とよばれます。
そして、他にも、たとえば、武術の流派系譜、神道や仏教の系譜を表す系図、日本刀、刀匠、彫刻工芸、儒学など、それぞれの道統、免許伝統録も、みなおのおの系図、系譜といわれるように、系図の種類は実に多いのです。
このように、系図には、元来おのずから古い歴史的伝統の誇りと権威の意味が備わっているもの。
したがって、家系図には、家柄という家の地位、家の格式や、そのよい家名を伝える、いわゆる旧家の裔であることを表示してるものであるがゆえに、このような家名を尊ぶ心情から、各姓氏家系の歴統を、自他共にわかりやすくする目的で書かれたものが、本来の家系図な訳です。
そして、家門素姓の系統を明らかにすることは、先祖出自の栄誉を誇りとし、由緒正しい、りっぱな素姓血統をうけついだ子孫に対して、よい意味では、先祖を尊び、家名に恥じないように自戒し、その身を慎んで、家名を興す努力を教えるという、自然な系図の道徳的な効用があるのではないだろうか。
次回は、この系図の効用についてあれこれ書こうと思う。