椎葉産の蕎麦粉。そばや吟匠庵。

宮崎神宮は、天皇を祀る神社であり、一の鳥居を徹瞬間に身が引き締まる思いとなる。
絵馬を掛けさせていただいたあと社務所の巫女さんに「このあたりでうまい蕎麦屋さんはありませんか?」といつものように聞いてみた。すると自信をもってオススメいただいたのが、この吟匠庵である。

道案内の通りにあるくと、2分で着いたこの店は、どちらかならおしゃれな感じがするお店。
教えていただいたのは若い巫女さんだっただけに、”味よりも雰囲気”でオススメだったのか、と期待度のハードルを下げて席に暖簾をくぐる。
しかしまず目に入ったのは「今日のそば粉”椎葉産”です 店主」の貼り紙。これは意外だった。

何故意外だったのかと、これを申しますには少し蕎麦の話しから”回遊”する必要があります。

以前、氷見に行きましたよね、どこかこのあたりに書いてありますが、いわば、ゆがんだ地産地消を学んだわけですな。

例えば氷見の寒ブリは有名だけど、地元では味わえません。(あるにはあるが、フレッシュじゃない)
これは流通の安定のため築地や大阪市場などへの出荷が優先されるから、地元じゃ100本以上ブリが水揚げされないと一本のブリも氷見に残らない、ヘンな「現象」が起こっているがゆえ。

ボクなんて、ブリシャブをとてもとても楽しみにしていたのに、かけらも出されなかった。
それにだ、その時には代わりにクジラがが揚がったのでお楽しみになんて言われたから腹の立ったのが収まったのに、なんのこっちゃない、あれはとイルカだろうが、出されて口にしたときにあんぐりとした。

つまりのところ、なにが言いたいのかと申しますとですな、ボクはブリシャブが食べられなかったから怒っているわけでは、、、おそらくありません。

ようするに、地産地消なんて言ってるのを耳にしますが、本当に良い地産品は、結局のところ地元で口にする事が出来なくなっているわけですよ。
だから、氷見のブリにしても、この椎葉産の蕎麦粉にしてもですね、生産者側にすれば、値段を高くつけてくれる方に売りたい。

東京の築地に持ってゆけば一番儲かるわけですよ。だから、地元なんか相手に出来なくなる。
氷見にブリが、揚がったから今日はブリシャブ、という仕組みではないのです。

今日、漁協が出荷分にあまりが出ているから、料理屋さんは漁協から仕入れて出せる。だが、氷見のブリをウリにする料理店は一軒ではないから、やはりここでも競られて値段は変わらない。

椎葉産の蕎麦粉もまったく同じで、とても希少価値があるのに、使用しているそば店は東京や福岡ととても多いから、おそらくは地元では味わえない。
そう思ってたのです。もし手に入ったとしても、その品質を同じにするなら、都会と同じ値段で仕入れをしなければならない小売店は、同じ品質であればあとは値段の安い方を選ぶのが当然だと思うわけです。

だから、よほど地元を愛しているとかって好き者でないと椎葉産なんて使わないだろうし、店で出しても儲けにならないだろうが、なんて思っていたわけですよ、でも半分くらいはワクワクしてる。判ります?そこでチョイと意地悪をしてやろうと、三名ほどおられた女性店員さんの一人に「鴨ぬき」を頼んでみたわけです。「それと、それに合うお酒下さい」なんて、どうせ聞き直されるだろうな、と考えつつ言ってみた。ダメなら酒呑んで帰ってやろうって魂胆です。

ところが、「はいお待ち下さい」ときた。
酒が先に出されてきて、ちゃんと突き出しもだされ、タイミング良く「鴨のぬき」を運んでいただいた。この鴨が良い鴨で味わい深くて中には、ツクネの団子が入ってこれまた美味い。


それならと、たのんだ三色そば。「柚子切り」に「御膳」に「椎葉の蕎麦」がそれぞれに香る。
口に入れても拡がって美味い。ここは宮崎のおすすめ蕎麦店としてベスト3に入る。それに地産地消の良いモデルじゃないか。

感動してインターネッツをみていたら、一茶庵の手打ちそば教室プロコース卒業生の店舗紹介の中に吟匠庵の名前をみつけた。
次に紹介しようと思う、「しみず」も同じく載っていたので驚いたが、一茶庵の技術を伝承させる為に体系化されているのであろうそのプロコースにも少し興味を持った次第です。

そういえば、ブリだけに回遊ってオチが付かなかった。

吟匠庵
宮崎県宮崎市神宮西1-17
0985-22-1519
11:30〜15:00 17:30〜20:30
月休

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