京都の桜について

実は本日、夜明け前より東山三十六峰のあたりにおり、昼から時間が空くため現在一般公開中の御所の桜見を計画しておりました。しかしあいにくの雨。なのでこれは明日に変更、今日は「京都の桜」について記してみることにしました。
一回のポストでどれだけ記せるか判りませんが、夜が明けてから撮影した数枚の写真も紹介しつつ今が盛りの京都の桜について記してみます。
よろしくどうぞ。

定番お花見スポットといえば八坂神社にある円山公園で、園内中央にある祗園の枝垂れ桜が現在2代目だという古都はあまり知られていませんが、やはり京都を代表する名桜であり広い公園にはおよそ1000本の桜が咲き誇り大勢の花見客で賑わっています。

このように今の時期になりますと桜を愛でるような機会が多くなり、今が桜の季節となるわけですが、その実のところ京都人の花見というのは10月からスタートしていたりします。
寺ノ内大宮通りを東に入った、妙連寺の御会式桜(おえしきさくら)は10月13日頃に蕾がほころびはじめ、仏陀入滅の4月8日前後に満開をむかえる。半年間前から咲きはじめているというわけです。

冒頭から抹香臭くて申し訳ないが京都で花見となるとお寺抜きでは語れません。
たとえばこちら妙連寺さんは、京都最初の法華宗の寺院。京都で一番始めの桜というと妙蓮寺なのです。
西陣の春を告げる歓喜桜は雨宝院さん、本堂に歓喜天を祀るから西陣聖天と呼ばれていて境内には歓喜桜や御衣黄(ぎょいこう)という黄緑色の花をつける珍しい八重桜が咲く隠れた名所です。一番遅いのは御室の里桜。この近似種がこの雨宝院さんにあるのはあまり知られていません。本家の仁和寺よりは少し早いけれど銘木です。

そもそも花の御所とか花の寺をいう言い方ほど、京都に似合う言葉はないのではないでしょうか。
花の御所とはかって室町将軍の邸宅があったところ。花の寺と言えば、あの桜好きの西行法師が出家した西の京の寺です。

北の方なら、賀茂川沿い。
早咲きや遅咲きの桜が土手を彩り川面に映えてます。視線を東の方へ上げたら東山のやまなみを飾る錦。
桂川をさかのぼると嵐山、渡月橋からの風景など様々な彩りをみせてくれます。

さて、世界文化遺産として登録された「古都京都の文化財」は17。
上賀茂神社、下鴨神社、東寺、清水寺、延暦寺、醍醐寺、仁和寺、平等院、宇治上神社、高山寺、苔寺、天龍寺、金閣寺、銀閣寺、龍安寺、本願寺、二条城などです。
今回は、この17の文化遺産を意識しつつも気にせずに桜の名所を書き連ねてゆきます。
とんでもない穴場も含まれます。もうすこしおつきあい下さい。

まずは、名刹を彩る絶景の桜、清水寺
境内にはおよそ1000本の桜が咲き誇っています。清水の舞台から眼下に広がる桜のパノラマは室町時代から愛されてきた名刹の趣ある桜です。
写真は、今日の朝7時頃の清水寺、雨でしたから車で茶碗坂を上がりきったところでパチリととりました。


次に、桜に彩られる歴史的な城郭といえば、二条城。あの大政奉還が行われた場所です。
城を取り巻くお堀や西側の美福通りにある桜は見事で、城に入りましてもおよそ45種、360本ほどの桜たちが次々と華麗な見頃を咲き継ぐ様子は城内に桜前線があるかのようです。ずばり見どころは本丸の南側の桜の園、二の丸御殿の北側の清流苑です。
ささ、こんな調子で少し「かみにむかいましょ(北へ行きましょう)」。

王朝の輝き、優雅に桜も舞う上賀茂神社は、京都で最も古いといわれる神社。
鳥居をくぐると参道脇の緑を背景に悠々とした姿を見せる枝垂れ桜、その大きさに参拝客からは感嘆の声が聞こえます。
森の奥に鎮座する下鴨神社は上賀茂神社と共に京都最古の神社です。朱塗りの桜門や社殿の桜は心洗われるようです。史跡「糺の森(ただすのもり)」には、クメザクラなど古代山城の樹種が自生しています。

賀茂川の半木の道は畔に咲き誇る桜。賀茂川の東岸、北大路橋から北山大橋の間約700メートルほどの間、紅枝垂桜の並木道がつづきます。
夕方には花びらと川面がいて息をのむほどの風景が見られます。夜は街灯が少なく宴会にも暗いので人影はわずかです。更に北へ向かいますと、静寂の美、幽玄の春景色の岩倉実相院。広大な石庭と「床もみじ」「床みどり」で有名な洛北の名刹ですが、桜のころはいっそう美しい場所です。

北山の静けさを背景に建つ、常照皇寺のある京の山里は少し遅い春を迎えます。九重、左近、御車返しの桜が静かに咲きそろいます。

そして本日より一般公開されている京都御所
殿舎や庭園など雅やかな白砂に映える桜の風景を堪能できます。紫宸殿の左近の桜はまさに白砂と桜の花びらの桜色との調和が見事です。種類の多彩な御所のなかでも御車返しの桜は、後水尾天皇があまりの美しさに御車を引き返させたというのがその名の由来です。中央東北よりには松に寄生した桜がある。

何年かまえの台風で宿主の松が倒れてしまっているのですが、桜はご覧の通り元気なものでした。


同じ御所でも、お次は孝明天皇が愛した近衛亭の糸桜。御所の西北あたり今出川御門から入ります。隣の児童公園には子どもの遊ぶ姿も見られて、はしゃぐ声も聞こえてくるこれこそ京都らしい桜であると私は思う。


少し東にゆきましょう。平安遷都1100年の記念に建てられた朱の社殿と、約300本の桜、見逃せないのは約150本の紅枝垂れ桜。小説「細雪」にも登場する平安神宮の桜。京都らしいかどうかは別として満開になると”豪華絢爛”と思えるほど空を覆う圧倒的な光景が広がります。
黒谷さんで知られる大寺院の金戒光明寺は、法然上人が比叡山より下りてはじめて草庵を結んだのが寺の起こりです。壮大な山門をくぐり境内に入りますと、御影堂、阿弥陀堂など18の塔頭と数多くの染井吉野が迎えてくれます。

お次は、昨日行ったノスタルジックな桜のトンネル、蹴上インクラインは、文化の香り・春の香り漂う岡崎の京都市美術館や、京都市動物園の周辺、岡崎公園一帯の疎水べりには水を慕うように染井吉野が咲きそろいます。疎水沿いの桜並木や動物園の中なども花見気分を満喫できます。疎水の穴場も素敵です。また、春の京都で定番の散歩道といえば、哲学の道も大変よろしいです。

祗園の中なら撮影でもお馴染みの巽橋からの桜風情もよろしい、写真はこれも今朝のものです。


さて、それでは京都市内から少し郊外、南の方へ方へ移動します。
鴨川に臨む水郷の地であった城南宮は、源氏物語の由緒漂う花の庭。華やかに咲く八重枝垂れ桜の美しさは楽水苑でお抹茶を頂きながら楽しみたい。そして更に南へ向かうと豪華絢爛、桃山文化を今に残した石清水八幡宮は、緑豊かな男山にある古社で厄参りの神さまとして信仰を集めています。神苑には染井吉野からボタンなど4月中はたのしめ花の数も豊富です。

今度は、京都の東部、山科へ。
まずは、四十七士ゆかりの神社、大石神社。同じく大石内蔵助を祀るお隣の岩屋寺の桜も見事ですが、ご神木の大石桜と呼ばれる枝垂れ桜の満開のころの華やかさは必見です。
そして秀吉が愛した桜の寺。醍醐寺は、醍醐の花見を催した寺としても有名ですから多くの説明は必要なしです。ただ総門から仁王門にかけての桜の馬場では染井吉野や枝垂桜が咲き乱れます。国宝、五重塔の前の枝垂れ桜に注目でしょう。

場所は洛西、花霞につつまれる景勝地の嵐山に移動。
渡月橋を中心に、桜の名所として名高い嵐山は景勝地の名にふさわしく豪華絢爛ですが、出来れば観光地ムードからは離れて桜を楽しむことをお薦めします。たとえば嵐電(らんでん)には桜のトンネルと呼ばれる区間が「鳴滝」「高雄口」の間で楽しめ、高雄パークウエイでドライブを楽しみながら絶景の桜を満喫する事も出来ます。4つの展望台から観る山桜は格別です。

渡月橋の近くにあるのは、嵐山を望む借景式庭園の天龍寺。王朝の伝統文化と禅文化が巧に融合した独特の美しさ、後醍醐天皇をお祀りしている多寳殿の周りに咲く染井吉野や枝垂れ桜の満開時の美しさは圧巻です。

忘れてはならない3カ所、龍安寺・原谷苑・大沢池もあります。
枯山水と禅の心に映る春というイメージがわく、龍安寺は、虎の子渡しと呼ばれる庭園の塀の向こうには濃いピンクの枝垂れ桜。静寂の空間に春は華やぎます。鏡容池の西にある桜苑はゆっくりとお花見が出来ます。
自家用車では行けず弁当酒類カメラの三脚など持ち込み禁止だけど食事をとる場所はある。そんな春限定の隠れた桜名所は原谷苑。桜の時期のみ公開される広大な庭園に吉野桜、彼岸桜に加え雪柳、ボケなど数々の花が咲き乱れます。なんといっても百数十本もの枝垂れ桜が圧巻です。
入苑は平日1200円で土日祝は1500円、入園時間は9時から夕方5時までですが電話で確認をしてから行くのがベター(075-461-2924)。王朝の船遊びが偲ばれる遊園池の大沢池(大覚寺)は、大覚寺の東に広がる大沢池。周りには染井吉野、山桜などが咲き、嵯峨の小高い山々を背景に、水面に映る春の彩りが楽しめます。

あと、遅咲きの名勝ならばこの近く、御室桜の仁和寺は、御室派の総本山。京都一遅咲きの御室桜が有名です。高さ2〜3メートルのほどの低木なので花々を目線の近くで楽しめるのが魅力です。

そして洛西のお薦めを3カ所。車折神社・勝持寺・善峰寺です。
桜の宮と呼ばれる桜の名所、車折神社。河津桜(かわづざくら)は2月下旬頃から咲き始め見頃は3月中旬頃の早咲きの桜。五月、嵐山で行われる三船祭はこの神社の祭りです。
一番最初に記しました。花の寺の名にふさわしい春の絶景は勝持寺は、西行法師が出家し庵を結んだ寺。法師手植えといわれる西行桜をはじめ100本近くの桜が咲き、満開の桜に覆われることから花の寺と呼ばれています。さらに個人的には近くの十輪寺もお薦めです。
西山連峰を春に染める、善峰寺の桜。徳川五代将軍綱吉の母堂、桂昌院お手植えの枝垂桜が色鮮やかな花を咲かせます。左右50メートルに枝を伸ばす遊竜松は天然記念物としても有名です。

京都の桜をぐるりと思いつくままに記してみました。まだ三割も書けていないように思えます。お気づきの場所などコメントいただければ幸いです。

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