潮満寺(九州36不動霊場めぐり 13番札所 )

碧い海。逆白波の寄せる浜。そして果てしなく続く海が霞のなかでも広いことが判る。
風光明媚な日南海岸こそ天下の絶景であろう。

九州三十六不動霊場巡りは宮崎県で二カ寺目となった潮満寺はこの美しい海岸の見える唯一のお寺でもある。
寺院の住所「油津」という地名の由来は、油を流したように波静かな港とも、又は、鵜戸山吾平の津とのいわれもある。

その油津には、鵜戸神宮という古社があって、神代の伝説を秘めているところであるが、潮満寺や周辺の寺院もこの社を中心に栄えていた。
神社は日向灘に面した洞窟の中に鎮座していて、祭神は鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)を祀っている。創祀は崇仁天皇の御代という。

後年、桓武天皇の延歴元年(782)、天台僧の光喜坊快久が勅命を蒙って初代別当となり、社殿及び寺院を建立し、その勅号を鵜戸山大権現吾平仁王護国寺と賜った。
この様に当初は天台宗であった鵜戸神宮であったが転じて真言宗となり、本寺に六観音を安置して僧坊十八を構えたといたが、やはり明治の神仏分離令によって寺院を廃し、今の鵜戸神宮と改めている。


仁王護国寺に比肩し、天正年間(1591)、藩主伊東氏の外護を得た勢海上人が願成就寺を興して九カ寺の末寺を有していた。

その末寺に長満寺というのがあったが、明治の代に廃寺になっていたのを、昭和九年(1934)、願成就寺二十八世伊勢木俊照上人が油津の地に建立して、潮満寺と改めた。

新寺建立とはいえ、由緒ある寺号を再興させた潮満寺は、本尊に波切不動明王を安置して、油津の海上平安を祈願されているが、荘厳な須弥壇に丈六の板碑に線刻されいた波切不動の構えは圧巻であり、海に生きる民衆の信仰を彷彿とさせた。

あらたなる 高野山に 参りきて よろずの願い かなううれしさ
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宮崎県日南市油津3-2-7
0987-22-3131

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