蕎麦湯の楽しみかた

ここでいう蕎麦湯は、モリソバとか、ザルソバとか、冷たいお蕎麦の類を注文するとセットのように付いてくるアレ、蕎麦猪口に、お蕎麦をつけて食べ終わる頃に出されるものです。
この蕎麦湯。小生にとっては蕎麦屋のオマケ的な楽しみ。
蕎麦湯に溶け出た栄養分を摂る意味もあるけれど、何より今まで食べていた蕎麦を思い出しながら余韻に浸れるものであります。

しかしお店によって蕎麦湯はすべて違うのもの。
サラッとしたのとドロッとしたもの。それに、湯気から香りが立つものや香らないものもあります。
だから、それぞれの楽しみがあって自分の工夫も出来るから、もうひと味も二味も楽しめるのです。
さらには目で見て楽しめる湯桶(ゆとう)もあります。基本的には四角い朱塗りのものだけど最近じゃ陶器製もあるから店の性格が出ていて面白いのです。

さて、蕎麦好きなら、徳利のツユを蕎麦猪口に全部あけるなんて事はしていないでしょう、少しずつ継ぎ足した方が安定したツユの味を楽しむ。
それにワサビを蕎麦猪口に入れるなんて事もしないでしょう、ワサビをソバつゆにつければ辛味が飛んで台無しになります。
だから、蕎麦猪口に少しの辛汁と、ワサビを残して蕎麦湯を迎え、蕎麦猪口に蕎麦湯を注ぐのです。
そして残ったワサビを蕎麦湯の薬味として楽しむ。

残ったソバつゆに蕎麦湯を入れる事に異をとなえる人もおられます。
蕎麦湯の味が分からなくなるというわけです。だけど残ったソバつゆを蕎麦湯でのばすと美味しい吸い物になるから好きだという人もいる。

ところで出される蕎麦湯には、「サラッとしているタイプ」と「ドロッとしているタイプ」の2つのタイプがあります。
サラッとしているタイプは、前出のように「蕎麦の辛汁に蕎麦湯をいれて伸ばすタイプ」。
「ドロッとしたタイプ」は、蕎麦粉を溶いて作っているようなタイプで、つゆは使わずに味わうのも良いタイプとなります。

これだけでも、好みが分かれそうで、時には、どちらかを全否定するような蕎麦好きもおられます。
今回のエントリーでは、どちらを進めるかではなく、どちらも楽しめる方法を記してみたいとおもうわけです。

それでは、まずはツユをいれる楽しみ方からFAQ形式で記してみましょう。

Q.もしも蕎麦猪口に辛汁が沢山残っていたら、どうしましょうか?
A.店員さんに、辛汁を返す器を頂きましょう。店員さんが忙しそうだったりすれば、お茶を空けてその茶碗を使用するのも宜しいです。

Q.蕎麦湯と辛汁の割合はどの程度にしましょうか?
A.サラッとしたタイプの蕎麦湯なら、つゆが2に対して蕎麦湯が8。ワサビなど薬味が残っていて使用する場合は、つゆが3に対して蕎麦湯を7くらいにします。ドロッとしたタイプも同じくらいでもよいですが、ファーストインプレッションはストレート、あとは徐々に増やしてゆくのがよろしいです。

まず、蕎麦湯が運ばれてきても、同時もしくは前もってソバつゆを移す容器が準備されている店に出会ったことは未だ無いのだけど、勝手な想像をするならば、丹誠込めて作った辛汁を捨てられるような作業なんてのは目にしたくないからだろう、そう思いますよ。

ドロッとした蕎麦湯を出す店は多くなりました。
このドロッとした蕎麦というのも、蕎麦を湯がく釜から直接いただけるお店と、蕎麦粉をお湯で溶いてお出し頂けるお店があるが、いずれにしても、蕎麦の栄養分がたっぷり溶けだしているのだが、その両方に我が儘を言える店も多い。
つまり、ドロッとした蕎麦湯を出されたら、それを楽しんだ後で「釜の蕎麦湯をください」とやるわけだ、もちろん時間帯にもよりましょうが、繁盛店なら昼時の後だと、釜の蕎麦湯もドロッとしている。

さて、そろそろ結論めいたことを記しますが、蕎麦湯に限って言うなら、「蕎麦粉を溶いている」「お代わりが出来る」「”ヌキ”がつく」。この三つの条件を満たしてくれる店を求めた方が良いです。

蕎麦粉を溶いている
蕎麦を湯がいた釜からの蕎麦湯もよい。これにつゆ1対蕎麦湯を9位から楽しみ始めるととても美味い。だが蕎麦粉を溶いて別に作っている店は、経験上ほかにも気遣いが出来ている事が多いのだ。例えばお湯と蕎麦粉の溶く場合はその配合を極めている。いわば蕎麦だから当たり前だけどこれだけで楽しめるのです。それに、忙しそうな時にこんな我が儘は通らないけど、アトで湯がいた釜から頂くことも出来る。

お代わりが出来る
大抵は店員さんにお願いするわけだが、もしも蕎麦湯好きの貴方に対して、怪訝そうな顔をしたら、「ここの蕎麦湯美味しいねえ、あとで良いからお願いね」と大人になってみる。それでダメなら、小声でバーカと、まあこれはジョークですけど、蕎麦湯が入ってる器を見ればお代わりが出来るかどうかが判る。お店が器に蕎麦湯を入れやすい感じなら、わりと気兼ねなくお願いしても快く応じてくれるだろう。理由はないが経験上そんな店が多い、きっと注ぎ口が広いとお店の側もお代わりを入れやすい、そんな姿勢じゃないかと思うわけです。

ヌキ”がつく
ご存じヌキは、玄蕎麦の実から外皮だけを剥き払って、中の蕎麦の実だけにしたものです。
お店によっては、蕎麦湯とともにこれを提供してくれるから、蕎麦の余韻に浸る要素としてはうってつけなのです。小生の場合、いくらか蕎麦湯を楽しんだらヌキを口の中に5〜6粒放り込んで、舌と歯で挽いて、その上から蕎麦湯を口の中に含むと、これがとても良いのです。
これこそ蕎麦の余韻、これを楽しんだあとも数時間は、蕎麦の香りが口の中に存在しているから、ああ、又あの蕎麦屋に行こうと思えてくるのです。

とまあ勝手なことばかり記してしまいましたが、白湯かと思えるような蕎麦湯も、タンパク質たっぷりのコッテリ蕎麦湯もありますが、辛汁は蕎麦湯が足されたときにその本質が見えてくるものでもあります。
かえしに砂糖が多いのは蕎麦湯で割ると甘さを感じます。しっかりダシの利いてる辛汁は蕎麦湯で割っても、蕎麦をすすっていた時と同じ風合いそのままで変化が無いのです。
つまり、蕎麦湯こそ蕎麦屋を判断fする試薬ともなり得るわけで、これも蕎麦湯を楽しむ方法の一つと加え今回のエントリーを終えましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。