蕎麦と言えば、どこでも細く線条状で出されますが、ずっと前は米の代わりか、そばがきで食べるのが中心だったようですな。つまり、玄蕎麦から鬼皮だけをとった「抜き」だけを米の代わりにして食べる代用品か、それを粉にして練って茹でたってわけです。
そばがきならば、蕎麦粉と水かお湯があれば小生にも不細工ながらも出来ますし、お腹も膨らみますから味を楽しむよりも腹を満たすところで重宝したのだとも思われます。
とはいっても、そばがきの場合だと時折「ここのこれで充分」などと酒とそばがきで帰るお客さんも見たことがあるほどで、いろんな「通」があるものだ。
しかし今回ご紹介する本でいう通は蘊蓄から生じるオリジナルの通ではない、 江戸ソバリエとは、2003年に東京・千代田区の江戸幕府400年記念事業として開講された「江戸ソバリエ」認定講座で認定された人たちによる蕎麦である。
すでに数百人を数えるそうだが、その有志40余名が手分けしてまとめたそば店訪問レポートです。
第1期生400名が関東のそば店を1店ずつ推薦し、そのリストをもとに絞り込んだ110店ほどのそば店の感想を掲載しているのです。
「はじめに」によると、レポートのコンセプトは客の視点に立って書くことと、その店に対する愛情が感じられる表現で書くことの2店。食味評論家でも料理ライターでもない。各自が1人の「消費者」賭しての立場を明確に宣言しているところに、偏向していない素直なレポートとなっているから新鮮みがある。
現在は、そば関係の書籍や雑誌記事はもとより、インターネットでもさまざまな情報が苦もなく入手できます。
だれでも簡単に「通」ぶることができるところに、一種の危うさも否めない時代です。
小生が今までに訪れたお店に関しても、様々なことを”書いてしまっている”のかもしれないのだけど、なかなか戸自分では気づけないところでもあります。(ご指摘下さい)
この本にはその辺りの配慮にある程度の抑制も利いていているから書き方の見本的にも好感が持てますが、、こういう文書を書くとどうしても蘊蓄をひけらかしたくというのも人間の常だろう、実は所々に散見されているのも面白い。
それにしても、実際に食べ歩いている人の本は良い。
熱烈なそばファンの情熱を感じさせてくれるからだ。この1冊を読むウチに東京蕎麦巡礼をはじめて見たいなあ等と・・・、