ストーカーの絶対とは

自分の決意を強く示したいとき、「絶対に」という言葉を使うようになる。「言った以上は必ず守ります」といって威張って言う人、あるいは「もう絶対タバコは吸わない」と決心するのもそうなんだけど、これはよく考えれば、言っている本人様は「絶対」なんて無いのを知っているわけですね。それなのに、その時の決意が強く、そして高いと示したいのでしょう、割と簡単に口にしてしまう人が多いのです。

これは個人的な人間関係でも生じることだけど、僕のような仕事をしていると毎日のように職場で耳にするような言葉であるのがこの「絶対」であり、これは直接耳にすることも、また、お受けしている相談メールによるものがあります。これは何もストーカー対策に関わることだけではありませんが、相談にこられる方は、どうしても切迫した本音からお話しになることが多く、どうしても表現が強くなってくる。

それは、ストーカー被害者からの話であれば、「絶対に言っていない」であったり「絶対に好意を寄せたことがない」というような話し、またあるいは、ストーカー側からは「あいつに絶対に復讐してやる」とか、今ではそう驚かないけれど当初はビックリしたような言葉を聞かされるものだ。

被害者から聞く話しには、今までの過去に意外と忘れているような言葉や仕草、または直接的な行為など、被害者が忘れていてもストーカー側はしっかりと覚えているような事や、会ったことがないと思いこんでいたのに、バイト先で一緒になっていたことがあったなど、意外と被害者の脳裏に無い約束事がストーカー側はしっかりと覚えていて、かつそれを実行しようとしているような場合、やはり被害者に思い出していただく必要があるから、根掘り葉掘り聞くのだけど、先ほどの「絶対に言ってない」「絶対にあったこともない」と仰る。

そして、ストーカー側に会うと「絶対に復讐してやる」と騒ぐ。とまあ、こんな笑い話にもならないやり取りからストーカー案件の芽生えがあるところを今回記そうと思っているのです。

これ実は先日飲み屋さんで心理療法系の先生、または自称先生なんかと呑んでたときに出た話なんだけど、「絶対に〜」と言ったのは、否定すれば大抵そうなる、もしくはそうしている事が多いのではないか、と言うこと。

「絶対に言っていない」なら、言っていた事があったり、「絶対に好意を寄せたことがない」のなら好意を寄せたことがあった、また、「絶対に復讐」ならしない方向でと、そうなることが多い。ということです。
結婚なんて絶対しない、といっていたのが結婚する。身近なのなら、「絶対ウドンなんて食べない!」といってたのが、ウドン大好き、と……。

一体これがどうしてなのかと話しをしていて、要は、こうなった。
恐らく本人には、自分はそうなるんだろうという予感があって、その時はそれに抵抗があるのに指摘されたから、絶対にと強く否定したいのではないか。

そして、その時に存在する強烈なマイナスエネルギーは、逆にプラスエネルギーに反転する可能性をもっていて、その可能性は強ければ強いほど高くなる。
単純な否定の時は、「絶対」といったこの強さ、つまり強調する必要などないのだ。

そして、その時に絶対にしない等と、否定してきたことも時が熟してくると、結局はそれをすることになる。

だから、僕がストーカー被害者やストーカーに面接する際、この絶対を聞いたら、この様なことも見方として加える様にし、また、被害者、時にはストーカー側にも考えていただくことをすすめてみる。

いずれにしても、相手に聞いていただく姿勢があればこその話しではありますが…。

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