そば処 柴崎

八という数字は限定しておらずむしろ末広がりといった意味合いの方が強い。ゆえにこのカテゴリを蕎麦八としているが、これも限定という意味ではなく、またベストといった意味でもない。京都の蕎麦が末広がりに美味くなればいいと言う思いから、一応八軒に限定したカテゴリをつくっておるのです。

ところが巷にはこのベストがあふれていて、面白いのがその基準。
蕎麦の産地比較にはお目にかからないが、汁が甘いとか辛いとか薄いとか濃い、この様な比較を初めとして店の雰囲気。つまり内装や応対、店の愛想まで基準に含めているところが何とも面白いのだ。

まあ愛想なんてのは、何となく判るが、店内の内装とか雰囲気というのはどうなんだろう。
そんなものが蕎麦を食うのに必要なんだろうかと、そう思っていたのです。
だって京都にいながらにして信州とか出石にいるような雰囲気を匂わせる店があったとしても、先に随分な雰囲気だけを感じてしまって、その地方で食べたことがない人ならまだしも、まず殆どの人が食べている可能性の方が高い世の中で、その現地より美味いものを出せるはずがないと思うのですよ。
だから、現地的な内装なんてむしろ邪魔になりそれに凝っている店にも否定的な感覚を持ってきたのです。

ところが今日、少しだけその考え方が変わりました。

それはテレビコマーシャルで知ったお店。2006年の9月15日、つまり今月オープンしたてのお店、それも京都の観光地ど真ん中、清水坂。その店は柴崎好範氏による総合プロデュースなので、名を「そば処 柴崎」といいます。


以前「きよみず 五条坂 ほっこり」があった場所ではなかったかと思うのですが、その名残か大変ほっこりとした印象を受ける場所にあります。しかし店の前に行くと、その門構えやのれん、耳にはインカムのイヤホンを耳にした黒服の出迎えと、「高級蕎麦店」なのか?と一瞬ひるむ。

さて、店の中に入りまして頂いたのは、おろし蕎麦と、かけそば。

ここで冒頭に内装の話を振った理由です。
店内に入りますと三階建ての全てが陶磁器・漆器・芝山・蒔絵で飾られている。それも全てが値打ちもの。
十四代酒井田柿右衛門をはじめ、青木龍山、今泉今右衛門、中里太郎右衛門の作品、またズラリとならんが古伊万里の蕎麦猪口は壮観なのです。

流石にそれらは使用することは出来ないのだけれど、その湯の湯桶は東京芸術大学名誉教授 大西長利氏による作品、またほうじ茶をいただく碗や蕎麦の盛られるお皿などはすべてその内容と同じようにものの値打ちを感じさせてくれる品物で、ここでもまた盛られた蕎麦が高級になる。


ここが京都の観光地ど真ん中であるが故に、この様な内装の中で観光客に提供していただけるというのが、何とも小気味よいのです。内装自体が京都的な美を持っていてきっと観光客の全てを楽しませてくれる、そう思うのです。

お味などは、後日ここに随時書き加えて行こうと思う。
それは、昨夜の食べ物にクセのあるものがあって、それが故だろうお味に気になることがあった。それゆえ間違ったことを記すのも何だからもう二度三度通ってみて再度記そう。

(おろし蕎麦)

観光地で出されるため無難な選択としているのだろう。おろし大根は、いわゆる辛味大根ではないがし、よく冷やされた鰹出汁がかけられていて楽しめた。

(かけそば)
こちらのお出汁も、よい鰹を使用されているのがよく判る。

手打ち冷そば
ざるそば1,200円・冷おろしそば1,400円・特製冷やしたぬきそば1,400円・特製冷やしきつねそば1,600円・冷やしとろろそば1,600円・つけとろろそば1,600円・かき揚げ天ざるそば1,600円・天ざるそば1,600円・かもせいろそば1,600円・柴崎風ふきよせそば1,600円(1.5人前のざるそばに5種類の具 とろろ・オクラ・納豆・キムチ・温泉玉子)

手打ち温そば

かけそば1,000円・にしんそば1,200円・たぬきそば1,200円・きつねそば1,200円・椎茸餡かけそば1,400円・温とろろそば1,400円・なめことじそば1,400円・とり南蛮そば1,400円・かき揚げそば1,400円・天ぷらそば1,600円・かも南蛮そば1,600円・駕篭もりそば3,000円(揚げそば餡かけ・フカヒレ・アワビ)

このようにお蕎麦だけでも結構な品数。
いつかは「柴崎風ふきよせそば」と「駕篭もりそば」と次回の楽しみが多いところですが、この他メニューにあったドンブリものも楽しんでみたい。

ところでこれは私見なんだけど、京都観光、それも東山あたりの散策をされる際、八坂神社の辺りから、ねねの道や石塀小路あたりからといった、北から南ルートをとられる方が多いようだけど、あれは間違っている。効率的でないのだ。ゆったりと、そしてしっかりと散策するなら南から北ルートなのだ。
つまり、東山五条の交差点から、ここの店の前清水坂をゆったり歩く、そして清水寺さんにお詣り。その後七年、三年坂、ねねの道と進めば、最初の坂道以外すべて下りでラクチンなのだ。

なので僕がお連れするような場合は、朝ホテルで食事をされたらピックアップ。三十三間堂へのお詣りやお鍋お買い物ならWESTSIDE33などお連れして、東山五条交差点あたりから歩き始める間違いのないコース。今後11時過ぎにはこの柴崎さんで少し早い食事や軽い食事をとるというパターンが含まれる可能性もあるのかと。

075-525-3600
11:00 、21:0019:00 山崎さん情報
年中無休
京都市東山区清水4-190-3

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そば処 柴崎 (そば / 五条、七条)
★★★☆☆ 3.5

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