此の岸の夫婦

長かった酷暑も、昼の間であるのに何だか急に爽快な風を感じるようになり、今夜など寒いくらいです。暑さ寒さも彼岸までの喩えのように、暑さも和らいで涼しくなってきました。
春の春分や、秋の秋分の日。これは昼夜の長さが均等であるところから、昼夜のバランスも一番とれた一日と言え、特にこの月というのは皆様の調子もよろしいものです。

ですから春の春分の月も、秋の秋分の月、つまり9月なんてのはとっても調子が良くて兎にも角にも何をするにも考えるにも、そして何を食べるのも美味しくて大好きな季節と言えます。
だからなのかこの時期。皆さんも気持ちがよかったりしているのでしょう、ゆえに新規の夫婦カウンセリング件数も激減するのです。
なのでカウンセリングに限っては多少ゆっくりとさせて頂く事が出来る時期と言えます。

さて、以前から時折記している「夫婦カウンセリング」ですが、今回はそのお話しを記してみたいと思います。

この夫婦カウンセリングの実際では、同時にお2人ご一緒にご相談に来られることや、お1人でお越しになること等様々あります。そして、そのご相談の中身はと申しますと、不倫、離婚、別居、セックスレスなど相手についての事柄、さらに夫婦間に存在する様々な感情の事柄、つまり、異性として見れなくなったと言う夫の気持ちや、愛されている感じがしないという妻の気持ち、また自分の気持ちを伝えられない、判ってもらえないといった感情。それに伴ったコミュニケーション方法などについて言及したり、アドバイスをしたりする事が基本です。

しかし、これというのは実のところいきなりの話しではないのです。

その方が心の奥底の方で思っておられるような悩みを、この様に私のようなものにうち解けてお話しを頂くまでには、随分な前段階があるのです。

例えばそれは、お越しになるご夫婦で、「仲の良い夫婦」「仲むつまじい夫婦」が悩みを持ってお越しになるわけが無い事で想像していただけるでしょう、実際のところは、夫婦のお互いがそっぽを向いていて当然と言った状態なのです。
それはむしろ今にも掴みかかりそうな剣幕のご主人や、それに泣いてばかりの奥様との直面の方が多いのです。

だから先ず夫婦カウンセリングの第一歩は「夫婦のそれぞれがキチンとお話しが出来るような状態をつくる事」のお手伝いをするところにあって、そこのところには、それはもう一日分であろう程のエネルギーを一気に費やす事もあるのです。

どちらかなら、私共のような探偵調査サービスで受けるようなカウンセリングだと、一般的に離婚をするためのアドバイスや、別居をするため、また夫婦関係を継続して行くためのアドバイスを行ったり、事例などを通してアドバイスするような離婚相談をしているとご想像されるのではないでしょうか。
もちろん、これらのご相談はお受けしているのですが、最近ではこれら別れるためのご相談よりも、別れない為のカウンセリングを求められる方が多いのです。そのため、離婚するための証拠蒐集調査をお受けする場合とは、随分と考え方を切り換える必要もあるというわけです。

秋の彼岸の中日は祝祭日の秋分であるわけです。これについては「日本国民の祝日に関する法律」記述があり、そこに「祖先を敬い亡くなった人を偲ぶ」と祝日の説明がありまして、やはり佛教的な意義をもって感じることも出来ます。たとえば、夫婦間のこととはいえ感謝の方向はご先祖は勿論、ご先祖の産物として配偶者へ向ければどうかといった事であります。
これは先ほども記したように、心と身体の調和が一番とりやすいこの時期だからこそ、ご先祖の事を偲び思いを深め広げるといった気持ちも持ちやすく、夫婦間に愛情の貯金をしておける時期であるとも思うのです。それもこの日本の中でも四季折々の変化がある色彩的にも艶やかな時期であればこそ互いに芽生え蓄えることも出来る要素があると、小生は捉えさせていただいているのです。

さて、彼岸の言葉が持つ由来は古代インド語(サンスクリット語)のパラミター(波羅蜜多)と漢訳したもので彼岸は彼の岸と書きます。彼(か)の岸がある以上、此(こ)の岸があるのです。

此の岸は凡夫の住む境界であって、三毒の煩悩で、貪欲、瞋恚、愚痴が渦巻いております。
貪欲は、欲しい欲しいという貪(むさぼり)りの心。瞋恚とは、すぐ腹立てる怒りの心。愚痴とは、文句ばかり言う心です。彼の岸、即ち彼岸は人間として道義心、宗教心の目覚めた境界です。

日々を自己反省し、身・口・意の三業懺悔の自浄行為の展開する境界です。日々の生活にあって六つの波羅蜜の実践行は仏、菩薩のお心にかなう到彼岸の実践と言えましょうから、特にこのバランスのよい時期に自分の貯金と出来れば相手への貯金が出来るようにと願うものです。

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