先日商標の件で馴染みの特許事務所に伺いましたが、その雑談の際に「探偵社と興信所の違い」についての話が出て説明を求められ、どうお答えしようかと考えたのですよ。
その時にお答えしたのは、「個人が個人を調べるものが探偵で、会社が会社を調べるものが興信所です」という内容。この様にお答えしたところご理解いただけましたのすが、折角ブログを書いてるので改めてそちらに記しますとその時はその程度にしたのです。実は探偵社と興信所というのは同じものであるためです。
特許事務所では違うようにお答えし、今ここでは同じだと記しました。
これがどうしてなのか、この点についてもここで記してみたいと思うのです。
それではまず、興信所と探偵社は同じなのか違うのかを考えます前に、小生がこの仕事をやりはじめた頃はどうだったのか、この点を少し振り返ってみます。
随分前の話しになります。
この仕事に入りましてはじめて踏んだ現場というのは、大阪の東梅田あたりから阿部野橋までの尾行調査でした。被調査人は会社から徒歩で出てきて、電車に乗車、駅で降りたら最後は自転車という、良くあるパターンです。これ、駅から自転車でしたから、2キロほど走るわけですね。「走って尾行」をするわけですよ。
結局は家に帰るのですけど、あとで聞いたら駅からは、まっすぐ帰るのから尾ける必要がなかった。
調査員として、指示をちゃんと聞けてなかったわけで、まあ良い思い出です。
はて、この振り返り。
上記のはじめて踏んだ現場というのは、個人が個人を調査(尾行)しているわけで、「探偵」しておりますね。しかし小生がこの仕事をしたときに所属しているのは「興信所」なのです。今回は名称を控えますが「何とか興信所」という名称だったから、今でもこのブログタイトルの写真下に興信所調査員と書いているのです。
そして、この現場を踏んだのは昭和54年でした。
そして昭和60年までには本当にあっと言う間で現場現場の連続、調査時間の平均は一日14.7Hと費やした時間は今でも覚えているのですが、携わった現場の場所や名称など今では殆どと言っていいほど記憶にないほどです。
昭和60年と今書きましたのは、その年の10月に「興信所・探偵社規制条例」を大阪府が施行させたからです。この条例が施行された頃の話しなら、僕のブログ一回あたりの投稿サイズでなら一年くらいはもつ人の流れや出来事などもありますが、これはさておきまして今回記しておりますのは、あくまでも興信所と探偵社は同じなのか違うのか。
ですから今回は、余計なことは記しません。
この21年も前の条例、この中にある興信所と探偵社業の定義をしている部分、第二条ところがあるのですで、まずお目通し下さい。
(定義)第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二 興信所・探偵社業 府の区域内において、他人の依頼を受けて、個人調査、法人調査その他いかなる名目の調査であるかを問わず、特定の個人についてその信用、資産、経歴、素行その他の個人に関する事項を調査し、かつ、報告する営業をいう。
三 興信所・探偵社業者 興信所・探偵社業を営む者をいう。
ここを見ればお気づきの通り定義と書いてあるのに定義してない。
この業種が行う業務については定義しているのだけど、興信所と探偵社業の違いどころが一緒に考えられている。僕にすればここのところが面白いのです。この条例は他に目的があったからともいえるから仕方ないけれど、探偵と興信所は一緒。これがこの条例の定義なのです。
ただそういった意味では先般6月に参院通過した「探偵業の業務の適正化に関する法律」では随分と変化しました。
(定義)
第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み・尾行・張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行いその調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
2 この法律において「探偵業」とは探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい、これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。以下同じ。)を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものを除く。
3 この法律において「探偵業者」とは、第四条第一項の規定による届出をして探偵業を営む者をいう。
上記の引用は、今回の定義部分です。
ご覧頂いてお判りの通り興信所についての文はありません。
つまり探偵業法は探偵業=探偵・探偵社・興信所・調査業と定義したのです。
ですから、法が施行されたら、お馴染み「タウンページ」にある「興信・探偵」の職業分類も「探偵業」に取り替えられて、もうすぐ「興信所」なんてのはもう誰も使わなくなる死語になるんでしょうな。
なので今からでも少しでも、興信所と探偵社は違う定義を広めたい、浸透させたい、そう思ったからこそ特許事務所では違うとご説明したのです。
僕の「興信所調査員〜探偵〜調査サービスの27年」の間には、陰陽があり、またその時間軸、功と罪などがあり、特に興信所と言う言葉やその組織で行うような事が好きになれず、今まで来た経緯もあります。
なぜ興信所が好きになれなかったかといえば、興信所は会社組織が会社や個人を調べる集合体であるからで、それゆえ会社(興信所)の利益を追求していた。だから依頼者へのサービスは控えられるし探偵なら使えるだろうオプションを認められない。だからこの様な興信所には所属したくなかった。
だが現在の調査室に移ってからは、探偵として探偵のサービスだけに徹底できたから、依頼者への還元度が随分と高くなった、そして現在の「調査サービス」はまさに以前の興信所とは違った新たに創られた脱興信所のサービス集団となり得たわけで。だから小生は調査サービスという新たな業種にいて、更なる依頼者本位のサービスとなるオプションを拵え続けさせて頂けているのです。
だからこれらを探偵業を一つのものとして片付けられたくないのです。
もっともこれは僕の思い出としておけば良い部類のこと、なのかも知れません。
私の業種は「探偵調査サービス業」。
興信所や探偵社では出来ないサービスが提供出来るのは「探偵調査サービス業」。
だから、同じとも、違うとも言えるよう、二つの答えをいつでも用意しておきたいのかもしれません。