続)このカテゴリ「おいしい食べ物」について

前の続きです。
 それで、興信所の調査員である以上、やはり自腹で食べるような甲斐性などはありません、しかしホカホカ弁当の登場は調査員時代の感動的な出来事で、調査現場であたたかい御飯が口にはいるというのが嬉しくってたまりませんでした。更にコンビニエンスストアが増え始めてきた頃になると、これは興信所の調査員のために神が与えてくれた施設であると思った。大げさなようですが、本当のことです。いつでも24時間あいているのが心強くって、今はエディがつかえるam/pmやサークルKが好きだけど当時はローソン。深夜「コンビニの灯」には大変勇気づけられた、なのでコンビニ前にたむろする若者の気持ちは大変良く判ります。

 ところが、ある日、尾行の対象者が入る店がどんな店なのか確認するようにとの命が下ります。浮気調査をしているとラブホテルに直行することが殆どなのだが、どんな雰囲気の店でどんなものを食べていたのかも知りたいとのご要望があったのです。だから同伴者と少しはこぎれいな服装を用意して食事した。もちろん言われた命はこなしたが食事は豪勢に見えたものの、金子氏にご馳走していただいた、ステーキやフォアグラの方が数百倍も旨かったし、なにより食事の時間にBGMとして演奏されていたピアノの音はうるさかったし食事のジャマ!とさえ思えた。


だけどそれから、思いなおすことにした。あの店は失敗、ほかの対象者はどうだろう、と思い始めたのです。失礼ながら成金の不倫オヤジがチョイスするような店ではなくて、そこそこ筋の通った由緒ある対象者が不倫オヤジがチョイスする店の方がその二人に合わせた本質を味わえるに決まってる!!

不貞とは言え、格好いいカップルが、その二人の愛を深めるために訪れるお店。愛し合う二人は、お金に糸目をつけず最高の時間を楽しんでおられるように見えました。それは、「寿司」であったり、「洋食のお店」や「中華のお店」であり、ときには映画のワンシーンのように見えたのです。

だから小生ながらも味わいたく思ったのでは自然な感情ではないでしょうか。だけど行こうとしたのだけど、小生の持つようなお金では足りませんでした。メニューを見て、用事を思い出したふりをして店を出たりしたこともあった。門前払いならぬ門前帰りでした。だから所詮、調査員風情がもう二度と来るべき所ではないと思い、自分にとって本当に旨いものを探そうと思ったりしてから、無いお金を握りしめて本当に安くて美味しいもの捜しをするようになってきたのです。

京都の食べ物に面白さを感じ始めたのはここ10数年ほどでありましょうか。大阪の高槻市で生まれ、大阪の吹田では二回の引越、大阪の富田林、福岡県の博多と点々とし、小学校を転入してきた小生は、京都の人から見ると”よそさん”であります。
「深泥が池」を「みぞろがいけ」などと、頭で知っていてもいまだに発音出来ません。深泥が池は「みどろがいけ」であり、勧修寺は「かんしゅうじ」、京都人のように「かしゅじ」「かじゅじ」なんて発音できまへんどす。

そんな小生が京都のお店について記すのもどうかと思いますけれど、「よそさん」として味わってきたお店を記してゆきたい。思い出話混じりとなりましたが、このカテゴリ「おいしい食べ物」についての説明を終えます。

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