タイトルの納得離婚とは、「納得して離婚する」よりも「納得して離婚を思いとどまる」ための納得、であって得心にも通じる意味が含まれる。
さて、今、また熟年離婚がテレビや週刊誌、ドラマなどで話題にされて、ワケも判らずに怯えている夫が多くなっています。
この様に書くと、信じていただけないかもしれないけれど、「ワケが判らずに怯えている」という表現が一番適しているのです。
そもそも、このように怯えている夫に話しをお聞きすると、ほとんどの方が「妻を愛して結婚したことは覚えているが、当初、妻の何を、あるいは何処を好きになったのかの理由など無い」と仰る。
初めて出会ってから恋に落ちるようになる直前、なぜ好きになったのかが思い出せず、なぜ好きになって結婚したのか明確には判らないと語られるのです。
最初の状態がそうであって、新婚時代が過ぎれば、それぞれの価値観による夫婦生活がはじまって定着してくる。
ワケも判らずにというのは、依存してきたことで、頼れなくなるからではなくって、ただどうなるか判らない予想が付かないといった恐れを言います。
これこそ夫婦カウンセリングにおいてよく感じる夫の弱さです。
依存で言うなら小生の場合は、来年の4月が結婚25年目。
その年数分は妻に依存してきたことになります。
だから、仕事の都合で一人暮らしをするようなときというのは、相当困り果ててしまって心理状態すら宜しくなくなる時もある。
宜しくなくなった心理状態というのは、(誤解されそうでイヤなんですが)つまりは「妻を頼れなくなった」事に起因するものです。
頼れなくなった事を具体的あげるなら、「脱いだものや食べたもの」をそのままにしていても、綺麗にならない。
冷蔵庫の中についても、買いに出なければカラッポ、使わないと腐る。
それに一人で食べることが判っていて「つまらない」、おまけに仕事が終わってから何かを作ろうって気分にもならない。
だから、何もする気がなくなる。このループにはいると、どんどん陰にこもる。よろしくない心理状態になるわけだ。
まあ当たり前なんだけど、今回から記す内容で大切なのは「最初から妻がいなかったわけでなく、途中から妻がいなくなる場合」に「強い夫でいられるか否か」なのです。
お察しの通り、これは、当時小生が感じたことなのですけれど、まさにこの様な状態に不安を持ってお越しになる方が、(ご自身では)ワケの分からない状態になってお越しになるのです。
夫婦を長くやっていると、ある日突然、「これといったワケもなく相手のことが嫌いになる」といった状態になります。これは当然あって不思議のない状態です。
でも、まずほとんどの場合は、嫌いになったとしても心の中で何とかしているから表面化しない。
(心の中で回避したり除去したり転嫁したり)
しかし、表面化することもあります。
例えば、嫌いになってしまうのが、イヤだという気持ちがあるからだろう、あるその事を指摘する。
すると相手も都合が悪いのか、虫の居所が悪いのか反論する。
すると互いの口論となって、終いには「性格が合わない」事を、互いにののしりあったり罵倒したりする夫婦げんかになる。
こうなると、日薬。つまり時間が解決するか、第三者、つまり小生などが必要となる場合も生じる。
このような事からも小生がお受けするご相談の第一番目は「性格の不一致」である。
実は小生、夫婦の間で「性格の不一致」と言うことが、本当のところ理解できないのです。
そもそも、結婚する当初から、生んだ親も育てた親も、育て方も関わってきた人間も空気も宗教も、(キリがない…)違ったもの同士であることなど、重々理解し合った上で、結婚式を挙げて、ましてその式場でも、なんですか、親戚同士がですよ、ご挨拶なんぞしている風景を見ても、ああ、ウチと一緒だ、何てことは無いのです。
つまり、相手と自分は全く違う事を理解した上で結婚したはずなのです。
「だから、いまさら性格が違うとか何とか、それを理由にするのはおかしいですよ」
と、この様なことを申しますと、たいていは笑っていただけるので、むかしこの様なネタを使って追ったことを、少しここで白状して今回は失礼致します。
このカテゴリ「納得離婚」では、主な内容は離婚に関すしてとなりますが、決して離婚のススメを記すのではありません。
離婚の実務的な事例を通して、離婚をすることによって生じる「何か」もあわせて記して、「何か」を感じていただけるようにしたい。この様に考えております。