調査現場にて、「動悸」「息切れ」「目まい」を感じたのは、「駅から自転車に乗った相手を走って尾行したとき」、だったわけだけど、タバコも酒も深くやる習慣が付いていたからだろう、気づいたときは遅かった。
タバコや酒を急に止めたとしても、簡単に元に戻るはずも無い。
当時、パーラメントを三箱から四箱は一日で消化していて、酒も焼酎一升呑めていた時もあった。
タバコもやめた今となっては、血液循環が良くなったのだろう日本酒二合でアウトだけれど、当時は本当にどうしようもなかったというわけだ。
そもそも、車で4,5時間以上張り込んでいると腰が痛くなって絶えられなくなってもいた。
これも理由で、走れなくなったから、とか物療的な所が多いけれど、本当は自主的に調査員を退く道を選んだ。
何より他の探偵と現場に出ていて、そいつの前で走れないとか、見失ったとか、ましてゼェゼェ言うなど格好悪いのだけは、見せたくなかった、というよりも、そんな自分が嫌だった。
ラーメン〜コンビニ弁当〜ラーメンと繰り返した食生活もなんだけど、要は、特に体重などの自己管理が出来ていなかったが故の自己責任。
体重をコシが支えられなくなり、好きな現場には、自ら出ないようにしたというわけだ。
しかし、まあこれが幸いしたというか、小生の人当たりの良さと申しますか、こればかりは自己評価すべきではないのですけれど、(周囲の方はそのように仰います)、人柄とか人徳とか、およそ自覚など本当に無いのですけれど、相談業務に携わることになった頃から、役職を与えられるようになったのです。
これを行うには、先日も少し記した二十代から三十代頃のそれまでの現場から得られる経験が役に立った。
依頼者とのお話しなどは料金表を基にした説明程度は行うことが出来るようになりました。
例えば、朝7時からの対象者の自宅で張り込みを開始して、勤務先を突き止める。
そして、その帰宅時に再度尾行を開始する。
この場合の調査費用は、調査員が2名必要な出入り口であるとして、「出入り口」や「車の進行方向」など、実際に必要な人員や車両を正確に把握し、さらに費用の算定を行うのです。
この様な料金の提示については、調査の協会が発行している料金表がありますから、浮気調査でありましても料金表を提示しながら、必要な調査人員と時間などをご説明して契約を行うという内容ですから直ぐに出来ました。
ところが、依頼者の想像とは異なる状況である場合もあります。
尾行調査の対象者が、実際は勤めていない場合や、朝ではなくて昼頃から出て行く場合、朝だと思っておられたのに、夜の勤めであった場合もあるのです。
他にも、「車で動く」が徒歩に、「一人暮らし」が同棲中にと変化することが多いのでした。
そこで、この時期に小生が考えたのが、『無料下見調査』というシステムでした。
無料下見調査とは、実際に現場での確認を行った上で費用の算定を行う無料の調査です。
つまりは、詳細な費用の算定を行うために、実際の現場で無料にて下調べを行うもので、とても正確な費用の算定を行うことが出来るようになったのでした。
このシステムを基に調査費用の算定を行っているうちに、互いに余裕も生まれてきて雑談にも応じられるようになってきたのです。
三十歳になっていなかった頃ですから、ご迷惑もお掛けしたこともあったことでしょうけれど、ご寛容頂きながら、徐々にですけれど男女間のドロッとした、案件を手にするように変化し始めてまいりました。
女性には女性の相談員が、やはり話しやすさから選ばれることが多かったのですけれど、男性の場合やはり男性の相談員をと指命される方が多くなってきたためでもあります。